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EMS業界の話題と、『国家の品格』

 

2006/03/21 10:55


by 小心者きたさん 2006/03/21
Copyright Infostox.com,Inc

段落

海外出張や仕事上の問題などあり、しばらく投稿できなかったことをここにお詫びします。それではお約束通りにEMSについてほんの少しだけ書いてみましょう。

EMSとは、Electronic Manufacturing Services の略、最近はやりの電子機器の製造をまるごと請け負う業者のことで、実のところは、製造ばかりか、設計を始めとしてサプライ チェーン マネジメント (SCM)、具体的に言うと設計変更や部品の調達、それに直接出荷までをも含めて全てを丸ごと請け負うことで、コストだけではなくいろんな意味でのメリットを出してゆこうということです。特にパーツの大量購入による価格メリットは計り知れないものがあり、中国をはじめとしたアジアの人件費の安い地域における工場を駆使しての生産によるメリットとあわせれば、なかなかに魅力的な業種であるといえるのではないでしょうか?

とはいえ、EMSでそのノウハウをうまく生かし、時流に乗っているところは、いわゆるメガEMSと呼ばれている大手、例えば Flextronics (FLEX) Jabil Circuit (JBL)Sanmina-SCI (SANM)Solectron (SLR) などで、これらはかなり大手の電子機器メーカー、例えば Nortel Networks 、Nokia、IBMのパソコン事業を買収した Lenovo 、ストレージのEMC、ソニー、あるいはSun Microsystems、などの仕事を請け負っている事を念頭に入れておくべきです。

実際にはEMS企業は大手電子機器メーカーを部門ごと買収して、製造部門だけでなく設計チームを含む優秀な人員を取り入れてきたという歴史もしっかりと見てゆけば、どのEMS企業が今後どの分野やどの方向に進んでゆきそうなのかが、完全ではないにしても在る程度予測が出来そうな気がします。

EMS業界は効率を追求する業界でもあるので、買収したところのメリットをうまく生かしつつも、最高に効率の良い自社の方法論であるERPのシステムに短期間でうまく合わせ込むなどの技を活用してゆくことは、実際にはかなり大変な作業であることも多いようです。特に自社の方法論にこだわるというか、わかってはいるけど変えられないという典型的な日本企業を買収した場合などは、その変革は並大抵では無いはずです。

まあキヤノンのように、自社でリストラせず現有人員を有効活用しながら生産ラインの考え方を改革し、すばらしい業績を上げているところもありますが、私としてはこの御時勢では、生産に限らずあらゆる業務分野での地球規模でのグローバルな展開というのは自然な流れであり、それを止めることは誰にも出来ないので、そういった観点から見た EMS企業の将来は明るいことは間違い無く、これら企業群の中から投資対象を探すのも悪くはないなと思っています(ところでCanonの社名ですが、キャノンではなく正式にはキヤノンであることは、意外と間違えやすいのでご注意を)。

またよく言われている程には中国が生産のすべてではありません。他のアジア諸国だって、東ヨーロッパだってコストが低いという点から見れば立派な生産国には間違いがないので、そういったところでも生産を行っているのが、メガEMSの特徴であることも理解しておく必要があります。

ここで最近読んで、これは凄いと思った本の話題を簡単に。

めったにベストセラーのコーナーなどには立ち寄らないで、すべて自分の感性で読む本を選ぶ私ですが、『国家の品格』には久々にすがすがしさを感じました。なにせ買った理由が、その昔『若き数学者のアメリカ』を読んで感動を与えてくれた藤原正彦さんだったからという単純な動機ですが、この方は数学者なのに論理の限界を述べ、また行き過ぎた合理性の追求が社会を荒廃させていること、英語教育よりもまずは国語教育を優先すべきこと、美を尊ぶ姿勢は数学の分野でさえも最重要であること、古典や武士道を学ぶべきであること、などなど、父親の新田次郎ゆずりの見事な文章で述べてあり、自分の考えと非常に共通する点が多く、実は昨今の風潮にほとほと嫌気がさしつつある多くの日本人の共感を呼び、そのあたりにヒットの理由があるのではないかと密かに思ってしまったのでした。

この本だけではなく最近の藤原さんの著書をいくつか読んでみると、投資に関しても彼の考え方がしっかりと出ています。いわば『投資の品格』とでも言うべきものなのかも。さてそれがはたしてどのような内容なのか、ここでいろいろと書いても良いのですが、それは皆様のご自身のご判断におまかせしましょう。いずれにしろこういった人がいる日本はまだまだ捨てたものではないなと思いますので、皆様にも是非とも一読されることをお勧めします。

 

<UP>
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